ルームエアコンは一般的に「畳数」を目安に選びますが、住宅の断熱性能や部屋の使い方によって適切な能力が変わることがあります。
この記事では 畳数・機能・省エネ性能・設置場所 の観点から、住まいに合ったエアコン選びのポイントを解説します。
畳数から選ぶ
エアコンを選ぶ際、まず悩むのが「何畳用にするか」ということです。
カタログには「おもに6畳向け」などと書かれていますが、これはあくまで目安の広さです。
実際には部屋の構造や日当たりによって必要な能力は変わるため、単純に畳数だけで選ぶのは注意が必要です。
各メーカーが表示する「畳数の目安」は、日本産業規格 JIS C 9612(2013年版)に基づいた簡易計算で算出されています。
【メーカー表記の畳数について】

・おもな畳数:鉄筋集合住宅の最大暖房能力値が記載されていることが多いです。
・小さい数字:木造平屋建て(南向き)
・大きい数字:鉄筋集合住宅(中階層・南向き)
適切な畳数の考え方
現在使用しているエアコンで快適さに問題がない場合は、同等の畳数を選んでOKです。
しかし、以下のような条件がある場合は、ワンサイズ上の畳数を検討すると快適性が向上します。
- 大きな窓がある
- 吹き抜けがある
- 日当たりが強い部屋
これにより、エアコンが常にフルパワーで動くのを避けられ、電気代や故障リスクも抑えられます。
畳数選びで重要なのは「定格能力」
エアコンには、カタログに次のような能力が記載されています。
- 定格能力:安定して出せる基本的な能力。
- 最大能力:短時間だけ出せる能力。
- 最小能力:温度が安定した後の省エネ運転能力。
最新のエアコンは最小能力が低く、省エネ運転がしやすい設計になっています。
逆に、小さい畳数のエアコンを広い部屋で使うと、定格能力を超える運転が増え、電気代の増加や故障のリスクが高まります。
大きめの畳数を選ぶメリット
大きめの畳数を選ぶと、エアコンの定格能力に余裕が生まれるため、機器への負担が軽減されます。また、最新機種では最小能力の差が小さいため、大きめの畳数でも無駄な消費が少なく効率的に運転できます。その結果、省エネ性や快適性をより発揮しやすくなります。
このように、部屋の広さや使用状況で迷った場合は、ワンサイズ大きめの畳数を選ぶのが賢い選択です。
機能から選ぶ
エアコンはメーカーによって搭載されている機能が異なり、名称もバラバラです。ここでは主要な機能を簡単に整理します。
エアコンの搭載機能について
給水レス加湿
外気中の水分を利用して加湿する機能です。
- ダイキン「RXシリーズ」
- パナソニック「LXシリーズ」
加湿量や換気方式では、ダイキン RX がやや優れています。
換気機能
部屋の空気を新鮮に保つための換気機能には種類があります。
- 給気のみ
- 排気のみ
- 給気+排気
両方に対応するのは最上位機種のみです。
- ダイキン RX
- パナソニック LX
空気清浄機能
ウイルスや菌、カビ、ニオイなどの抑制に対応しています。メーカーにより名称が異なります。
- ダイキン:ストリーマ
- パナソニック:ナノイーX
- 三菱電機:ピュアミスト
- 日立:Premiumプラズマ空清
- シャープ:プラズマクラスター
- 富士通:プラズマ空清
幅広い効果で知られるのは、パナソニックのナノイーXです。
除湿方式
除湿方式によって室温低下の度合いが変わります。
- 弱冷房除湿:温度が下がりやすい
- 無段階冷却方式:温度低下がやや少ない
- ハイブリッド方式:温度低下が少ない
- 再熱除湿:温度低下が非常に少ないが電気代は高め
最上位機種では主にハイブリッド方式が採用され、省エネ性と快適性を両立しています。
省エネ性能から選ぶ
エアコンを選ぶ際には、「消費電力を抑え、効率的に運転できるか」が重要です。
各メーカーは省エネ性能の向上に注力しており、家庭の電気代にも直結します。カタログに記載されている省エネ性能の見方を知っておくと、より賢い選択が可能です。
省エネ性能の見方
- 省エネ基準達成率カタログに記載される達成率が100%以上なら、省エネ性能が高いと判断できます。色分けでは、100%以上は緑色、100%未満はオレンジで表示されます。
- APF値(年間エネルギー消費効率)エアコンの燃費を示す指標で、数値が高いほど省エネ性能に優れています。
APFは「Annual Performance Factor」の略で、1年間の冷暖房で発揮した能力を消費電力量で割った値です。
以前のCOPに代わり、現在はこちらが標準となっています。 - グレードによる省エネ差同じ畳数でも、グレードが高い機種は消費電力が抑えられており、省エネ性能が高くなります。特に広い部屋や長時間使用する場合は、ハイグレード機種の検討がおすすめです。
- 100V・200Vの違い14畳以上のエアコンは200Vタイプのほうが省エネ性能や冷暖房の最大出力に優れる場合があります。
同じ畳数でも快適性を重視するなら200Vタイプを選ぶとより効率的です。
※コンセントの形状や電圧変更が必要な場合は、別途費用が発生する場合があります。
設置場所から選ぶ
エアコンは取り付ける部屋によって、重視すべき性能や機能が変わります。
共立空調では、各部屋に最適なエアコンを以下のようにご提案しています。
部屋ごとのおすすめ機能
リビング
- 南向きの場合はワンサイズ大きめの畳数がベター
- 家族の滞在時間が長い場合は省エネ性能の高い機種
- 花粉や外気の影響を避けたい場合は給気換気機能付き
書斎
- AI自動運転で集中できる快適環境
- 空気清浄機能付きで常にきれいな空気
- スマホ操作対応で事前設定も可能
子ども部屋
- 滞在時間が短ければスタンダードモデルで十分
- 滞在時間が長い場合は省エネ性能の高いハイグレード機種
- カビ抑制の内部クリーン機能付きがおすすめ
寝室
- 風が直接当たらないセンサー検知機能
- 空気清浄機を置かない場合は空気清浄機能付き
- 室温を下げずに除湿する再熱除湿機能
まとめ
エアコン選びでは、部屋の広さだけでなく、断熱性能や日当たり、使用時間などを踏まえて「定格能力」を基準に検討することが大切です。
迷う場合は、ワンサイズ大きめを選ぶことで負荷が軽くなり、快適性と耐久性の両方が向上します。
また、加湿・換気・空気清浄・除湿などの機能はメーカーによって特徴が異なるため、住まいの環境や必要性に合わせて選ぶとより満足度が高まります。最新機種ほど省エネ性や静音性に優れ、効率的に快適な空間を保てます。
【ポイント】
- 広さだけでなく、部屋環境に合わせて「定格能力」で判断する
- 迷ったらワンサイズ大きめが安心
- 必要な機能(加湿・換気・空気清浄・除湿)は環境に応じて選ぶ
- 最新機種は省エネ性・静音性・快適性が高い



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